飛行機の窓から広がる雲と空の境界線。それは地上では決して出会えない、特別で幻想的な風景です。
普段は日差しを避けて通路側の席を選ぶ私ですが、今回は思い切って窓際の席を予約してみました。
そのおかげで、雲海の上に広がる広大な空と、夕陽に染まる光のグラデーションを心ゆくまで堪能することができました。
もしアルフレッド・シスレーがこの光景を目にしたなら、きっと何度も同じ空を描いたことでしょう。
彼の繊細な筆致と透明感のある色彩で、この雲と空の微妙な色の移ろいがどのように表現されたのかを想像するだけで、胸が高鳴ります。
やがて飛行機は高度300メートルまで降下し、雲の中へと突入しました。
そこからの数分間、窓の外は一面真っ白な世界となり、視界を遮るその白さが神秘的な静けさを漂わせていました。
そして、分厚い雲を抜けた瞬間、暗く雪に覆われた滑走路が一気に視界に飛び込んできて、真冬のヨーロッパへと帰還したことを実感しました。
ここ数日、濃霧が立ち込め、昼間でも景色が霞むほどの天気が続いています。
それでも、300メートル上空の雲を越えれば、あの明るい太陽が変わらず輝いていると想像することで、気持ちが少しだけ暖かくなります。
この記事は1月中旬に作成されたものです。帰国後、風邪をひいてしまい、更新が遅れてしまいましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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